VPNは「Virtual Private Network」の略で、インターネット上でプライバシーを守ったり、大学等の内部向けサービスに外部から接続したりするのに必要不可欠な技術です。
基本的に一般のユーザーが利用する場合、端末にクライアントソフトウェアをインストールする必要がありますが、新たなソフトウェアのインストールが禁止されている場合や、大量のデバイスを接続する必要がある場合、そもそもVPNが使えない端末などでは、従来の方法ではVPNが使えません。
しかし、 VPNが使用できる端末からVPN接続を共有、つまりVPNに接続された状態のWi-Fiを飛ばしてしまえば、それらの問題をすべてを解決することができます。
今回は、VPN接続を共有する方法を2つ使ってみたいと思います。
モバイルホットスポットを使う
モバイルホットスポットの設定
モバイルホットスポットを使う方法は、非常にセットアップが簡単ですが、柔軟性に欠けます。とりあえずVPNが共有できればよいという方はこの方法をお試しください。
Windows + I
を押して設定を開きネットワークとインターネット
を選択します。
モバイルホットスポット
を選択し、トグルスイッチを切り替えてオンにします。
編集を選択し、ネットワーク名を端末の推測が困難な名前に、ネットワークパスワードを強固なものに変更しておくと尚良いと思います。
アダプターの設定
関連設定からアダプターのオプションを変更する
を選択すると、コントロールパネルが開きます。
その中に、ローカル エリア接続* (何らかの数字)と書かれたアダプターが存在すると思います。このアダプターはモバイルホットスポットがオンになっているときのみ現れます。
モバイルスポットのオンオフは、Windows + A
を押下するか、右下のタスクバーアイコンをクリックして、出てくるアクションセンターのモバイルホットスポット表示からも切り替えることができます。現在接続中の端末数なども簡単に確認できるのでおすすめです。
VPNに接続していない状態でアダプターの一覧を見ると、どこかに契約しているVPN等の名前が記載されたアダプターが存在するはずです。 今回私が契約しているNordVPNの場合、TAP-NordVPN Windows Adapterと記載されていました。
お目当てのアダプターを右クリックして、プロパティ
を選択します。
共有
を選択し、ネットワークのほかのユーザーに、このコンピュータのインターネット接続をとおしての接続を許可する
のチェックボックスにチェックを入れます。
ホーム ネットワーク接続を先ほど作成した ローカル エリア接続* (数字) に変更し、OK
を選択して終了します。
VPNに接続
普段のようにWindowsをVPNに接続します。
VPNを共有したい端末で、通常Wi-Fiに接続するときと同じように、モバイルホットスポットのネットワーク名を選択し、ネットワークパスワードを入力して接続すると、すべてのインターネット接続がVPN経由になっているはずです。
もしエラーやトラブルが発生したら
前提: 今回はクライアントとしてAndroid端末を使います。
モバイルホットスポットが接続できない場合、ネットワークアダプターに問題がある可能性があります。
私の環境(Windows10)で動作確認をしたアダプターは以下のものです。一般的なLinuxでドライバをインストールせずに使うこともできるので、個人的にすごく気に入っています。
そもそもモバイルホットスポットの設定項目がない
モバイルホットスポットの設定項目は物理的な準備が整っていないと表示されません。
ネットワークアダプター(Wi-Fi子機)が接続されていないか認識されていないので、接続するか別のものに変えます。
ハードウェアに問題がない場合は、設定
→更新とセキュリティ
→トラブルシューティング
→追加のトラブルシューティング
より、インターネット接続
およびネットワーク アダプター
のトラブルシューティングを実行してください。
モバイルホットスポットがオンにできない
アダプターがモバイルホットスポットに対応していないか、内部でエラーが発生している可能性があるため、アダプターを別のものに変更するか、トラブルシューティングを実行してください。
クライアント側で、「保存済み」・「IP設定エラー」等の表示が出る
IPアドレスの割り当てが上手く行えていない可能性があるので、PC側のDHCPの設定や、ファイアウォール等の設定を確認します。
セキュリティソフトを使っている方は、そのソフトに付属しているファイアウォールが邪魔をしている可能性が非常に高いです。一時的にオフにするか、利用したい端末間のトラフィックを許可するカスタムルールを作成しましょう。
クライアント側で、「保存済み(もしくは接続済み)/インターネットに接続されていません」等の表示が出る
VPN側にエラーがある可能性が高いです。いくつかの端末で検証してみたところ、VPNのプロトコルがOpenVPNであり、かつUDPでの通信である必要があるかもしれません。
例えばNordVPNの場合、「設定」→「接続」→「VPNプロトコル」を「OpenVPN(UDP)」に変更します。
HostedNetwork(SoftAP)を使う
HostedNetworkの作成
Windows + R
を押してcmd
と入力し、Ctrl
とShift
を押したままOK
ボタンを選択し、管理者権限でコマンドプロンプトを開きます。
ユーザーアカウント制御の画面が表示されるのではい
を選択します。
次のコマンドを入力すると無線LAN子機の情報が色々と表示されます。
netsh wlan show drivers
この中のホストされたネットワークのサポート
がはい
になっている場合のみHostedNetworkを使用することができます。
お使いの端末での表示がいいえ
になっていた場合は、サポートしているアダプターを別途購入する必要があります。
HostedNetworkが使用できることを確認したら、以下のコマンドのssid= の後をお好きなSSID名に、key= の後を強固なパスワードに変更し入力します。
netsh wlan set hostednetwork mode=allow ssid=SSIDNAME key=PASSWORD
以下のように表示されればHostedNetworkの設定は完了です。
ホストされたネットワーク モードは許可に設定されています。
ホストされたネットワークの SSID が正常に変更されました。
ホストされたネットワークのユーザー キー パスフレーズが正常に変更されました。
次のように入力して hostednetwork を開始します。
netsh wlan start hostednetwork
ホストされたネットワークが開始しました。と表示され、周辺の端末から事前に設定したSSIDを発見することができるようになっているはずです。
アダプターの設定
Windows + R
を押し、ncpa.cpl
と入力してコマンドプロンプトのネットワーク接続設定を開きます。Windowsキーを押して
ネットワーク接続の表示
と検索して開くこともできます。
VPNに接続していない状態でアダプターの一覧を見ると、どこかに契約しているVPN等の名前が記載されたアダプターが存在するはずです。 今回私が契約しているNordVPNの場合、TAP-NordVPN Windows Adapterと記載されていました。
見つけたアダプターを右クリックして、プロパティ
を選択します。
共有
を選択し、ネットワークのほかのユーザーに、このコンピュータのインターネット接続をとおしての接続を許可する
のチェックボックスにチェックを入れます。
ホーム ネットワーク接続を先ほど作成した ローカル エリア接続* (数字) に変更し、OK
を選択して終了します。
VPNに接続
普段のようにWindowsをVPNに接続します。
VPNを共有したい端末で、通常Wi-Fiに接続するときと同じように、先ほど作成したネットワーク名を選択し、パスワードを入力して接続すると、すべてのインターネット接続がVPN経由になっているはずです。
やりたいことを行った後は、忘れずにhostednetworkを終了してください。
netsh wlan stop hostednetwork
結果
ためしに、Android端末でWindowsでホストされているネットワークに接続してみたところ、正常にVPN接続することができました。
上の画像の様に、VPN接続マークが出ていない状態でIPアドレスが変更されていることがお分かりいただけるかと思います。
このように、意外と簡単にWindowsからVPNを共有することができました。家中のネットワークをVPNにしてみるというのも面白いかもしれません。